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未来へのトリックオアトリート

第一章  #A.D.2016

 2016年10月。アンジェはただボーっとしていた。
「もうすぐ卒業……。少なくともアキラとはお別れですね」
 最近のアンジェの思考を支配しているのは、概ね、今の彼女の独り言がすべてであった。2014年4月に高校に入学したアンジェは、2017年3月に卒業する。極めて当たり前の話だ。
 が、その思考について解説するのは今である必要はない。どこか別のところでそれはなされるだろう。なにより。
「アンジェ!! 大変です!!」
 その思考する時間など、取れなかったのだから。
「どうしたんですか」
 基本いつでも落ち着いた様子のアオイが人目を気にせず――視線逸らしの呪符を使ってはいるだろうが――走ってくるという事態に、即ロッカーに駆け寄って刀を取り出しながら訪ねるアンジェ。
「警視庁で保管されていた、妖精銃が、盗まれたんです!!」
 そしてアンジェの想像通り、アオイさんは新たな事件の始まりを告げるのだった。

 

 妖精銃。それはイギリスで開発された新たな対霊害用の武器である。
 従来、「誰でも使える」という形を取る霊害との戦闘手段と言えば、それは剣であった。もちろん、日本においては玉鋼製の刀も存在するが、どちらにせよ近接武器である。だが、下手に攻撃をもらってしまえば、重傷は避けられない霊害との戦いにおいて、あえて接近して戦闘したい人間はいない。これまであえて距離を離して戦闘をしたければ、そうした魔術を取得するか、あるいは血の力のような特殊能力に頼る必要があり、つまりそれは、一部の才能のある人間にしか出来ない事であった。
 しかし、妖精銃はそんな、一部の人間にしか出来ない事であった遠距離からの攻撃を「誰にでも使える」事にしてしまう。これは、大変有意義な事であり、なにより、大変危険な事であった。なぜなら、霊害と戦うための技術が、霊害に対してだけ使われるとは限らないからだ。そして、これをイギリスは十分に承知している。なぜならば、対霊害用技術を初めて対人戦、戦争に投入したのはイギリスであったからである。
 第二次世界大戦中、イギリスは対霊害技術「妖精計画プロジェクトピクシー」を戦争に投入した。これは各国に「対霊害技術を戦争に投入してもよい」という大義名分を与え、そして、第二次世界大戦は、その裏で、大規模な対霊害技術の衝突を繰り返した。日本を占領した連合国軍最高司令官総司令部GHQが、日本刀を接収、廃棄(この時、廃棄処分を免れたものが「赤羽刀」と呼ばれる)したのには、単なる武装解除以上に、日本の対霊害戦闘力を反乱に使えない程度に弱めておきたい背景があったからでもある。
 こういった理由でイギリスは妖精銃の輸出に慎重であった。まして今は、国同士の戦争よりもテロリズムが恐ろしい情勢。迂闊な人間の手に渡るのが恐ろしい。
 そんな妖精銃が、日本に密輸されていた。まずこの時点で大問題であるが、それだけであれば、それは警視庁対霊害捜査班、あるいは妖精銃の関係者達の物語でも構わない。
 しかし、今回は、押収され、保管していたはずの妖精銃が、消えた、盗まれた、という事である。これはまずそもそも警察の不祥事であるが、しかし、「押収して保管しても盗まれる」のであれば、ただ押収すればいい、とはいかなくなる。そして、相手は警察の警備を抜ける人間である。警察だけで追えるとは思えない。
 アオイの父、中島マモルから娘、アオイに連絡が入ったのはそういった背景からである。

 

「というわけです」
「アオイさん、本当説明長いですよね……」
 思わずぼやく。
「で、私たち二人だけではまだまだ不足です。仲間をさらに呼びましょう。私は妹を呼びますから、あなたは……あの……魔女を」
 ――言うまでにずいぶん時間かかりましたね。まだ、嫌ってるんですね
 と少し冷ややかな目で、アオイを見るアンジェ。まぁ、色々あったので、分からなくはないアンジェではあったが、アンジェにとってはもう大事な友達なので、ちょっと複雑であった。

 

「へぇー、これがナカジマの娘さんかぁ」
 フワフラキラキラした昆虫の羽根みたいなのが生えた小さな人間がアンジェとアオイに近づき、主にアオイの周りをくるくる飛ぶ。
「あ、ウェリィ……」
「妖精?」
 その小さな人間が飛んで来た先に、もう一人少女がいた。そして、アオイが興味深くその小さな人間を見つめる。
「これが妖精……、はじめてみた」
 と、アンジェも続く。
「娘さんも、それに娘さんのお友達も、私の事見えるのか―。フェアー、この人たち、私の事見えるってー」
 小さな人間が少女の元に戻っていく。どうやら姿を見えないようにして悪戯をしようとしていたのだが、討魔師の血筋である二人には見えてしまったので、諦めたらしい。
「はじめまして、私はフェア。妖精銃の調査に同行します」
「……肝心の父上は?」
 きょろきょろと周りを確認するアオイ。
「あー、ナカジマなら、怪しい組織をいろいろ当たってみるってー」
「なるほど。では私たちは、痕跡などを当たってみましょう」
 アオイの父、中島マモルは警視庁対霊害捜査班に所属する警察官である。霊害と関与のある組織に調査を行うのは彼の本業でもある。彼が妖精銃を奪ったかもしれない組織を調べに行くのは、妥当だろう。
「では、早速、行きますよ」
 アオイが札を構えて、ほか二人に張り付ける。
「それなにー?」
「気配隠しの呪符です。魔術の心得のない人間には見えなくなります」
 ウェリィの問いに答えるアオイ。アオイの母、ミコトは呪符使いであり、この呪符も母から教わったりあるいはもらったりしたものだ。
「私はー?」
「ウェリィは消えればいいでしょ」
 ウェリィのおふざけに、突っ込むフェア。妖精は自分の姿を消す事が出来る。わざわざ呪符を使う必要はない
「問題の部屋はこっちですね。行きましょう」

 

「ふぅむ、妖精の力は感じないなぁ。少なくとも妖精銃を盗んだのは妖精使いじゃないね」
 部屋に入ってすぐ、ウェリィが言う。
「まぁ、妖精使いであれば、予想外の戦闘員が現れる、という危惧はしなくていい可能性もありますが」
 妖精銃の最大のメリットは妖精の力を借りる事以上に、誰でも使える事である。最大の危惧は、本来、脅威ではないはずの存在、組織が、妖精銃を手にする事で思いもよらない脅威になる可能性であり、もし妖精銃を奪取したのが妖精使いであれば、想定ほど悪い事態ではないといえる。もちろん、妖精の力を十全に引き出す事の出来る妖精銃を、妖精使いが使うというのは危険には違いないが。
「では、式神を放って、調査させましょう。それから、私もここの痕跡などを調べますから。お二人は監視カメラの映像を調べてきてください」
「わかりました」
 アオイは戦闘員としての側面が強いが、日本で最も霊害そのものを専門としている宮内庁霊害対策課の一員である。調査や痕跡の発見にも長けているのだ。
「まぁ、監視カメラで何か情報が得られるとは思いませんが……」
 二人と一人は監視カメラの映像を確認出来る部屋に移動し、映像を確認する。
「え」
 痕跡どころではなかった。そこには犯人が写っていた。
「えーっと……。これは、何?」
 最初に声を出したのはフェアだった。
「えと、日本にはこういうのがいるの?」
 黙ったままのアンジェを一瞥し、もう一度尋ねなおす。
「何言ってんのーフェアー。これはどう見てもフェアの故郷アイルランドの領分でしょー」
 茶化すウェリィ。
 そこに写っていたのは、カボチャ頭の怪人だった。
「確かにカボチャの怪物ジャック・オー・ランタンはアイルランドの怪物ですね。……ただ、こいつはどうやら人間です」
 後ろからアオイ。
「アオイさん。どういう事ですか?」
「いえ、単純な話で、霊力も魔力もほとんど感じなかったという話ですよ。そんな事より、そんなところで映像を止めてないで、どうやって逃げたかを確認してください。後、まだであればどこから入ってきたのかも」
 いわれて私は再生ボタンを押す。
「え」
 カボチャ頭の怪人は、円形の〝裂け目〟を作り出して、その中へ消えた。
「アオイさん、魔力は使われてないって!」
「えぇ。そのはずです。あれは、魔力や霊力を使った移動ではない。父上が、この映像を重要視しなかったのは、これが理由ですね。顔も分からない、魔力も霊力も使われてない、侵入脱出方法は未知の手段。まったく情報にならない」
「えー、それじゃあどうするのさー」
 アオイにブーと文句言うウェリィ。
「私たちなら、当たれますよね? アンジェ」
「えぇ。あの転移方法には覚えがあります。とりあえず、ここを出ましょう」
 頷きあうアオイとアンジェ。

 

「逃がさないように配備が必要です」
 とアンジェ。
「問題ありません。近くのビルの上にユキを待機させています。いざとなったら、それで対応出来ます」
 とアオイ。ユキとは、アオイの義理の妹で、弓の名手だ。
「カラ、カラ、ここに来なさい」
 アンジェが空中にしゃべりかける。
 すると、先ほど見かけたような〝裂け目〟が出現し。
「はいはーい、呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじゃーん。このカラちゃんに何か御用ですかなー?」
 “裂け目”から現れたメイド服、グレージュ色の髪のツーサイドアップの少女、カラがそんな陽気な声を発する。
「久しぶりですね、カラ」
「うん、久しぶりだねぇ、アンジェ」
 と、言いながらカラは刀を抜刀する。先端の欠けた打刀が姿を現す。
「いっちょ、死合う?」
「そうですね、あなたからは水神切すいじんぎりを取り返さなければなりませんから、それも悪くはないかもしれません」
 と小烏丸こがらすまるの写しである太刀、弥水やすいを抜刀するアオイ。
「なにー、水神切も抜いてほしいってー、しょうがないなぁ……」
 小型の〝裂け目〟が出現し、そこからもう一本の打刀を引っ張り出す。
 それに合わせて、どこからともなく、弓とは思えない軌道を描いて矢が飛来する。
「おおっと」
 二本の打刀とステップで、綺麗に撃ち落とすカラ。
「やめてください」
 アンジェは刀の刃を横に向け、平正眼の構えを取る。二人がそちらに視線を向ける。
「アオイさん、やめてください。そしてユキさんの射撃も止めさせてください。カラさんも、相手ならいくらでもしてあげますから、今は我慢してください。フェアさんも銃を下ろしてください。大丈夫、今は敵ではありません」
 押し殺した声。そして、刀にまとわりつく白い光。
「うん。私はいいよぉー。アンジェに免じて刀を収めよう」
 先端の欠けた打刀を鞘に戻し、もう片方の打刀を〝裂け目〟に戻す。
「……分かりました」
 アオイも弥水を納刀する。
 アオイとカラの納刀を確認し、ビルの屋上にいる、ユキのバディ、リュウイチがユキの射撃を制止する。
「それで? 実際のところ、なんのためにこのカラちゃんを呼びつけたの?」
「まず、前提として確認しておきますが、妖精銃を盗んだのはあなたではないですよね?」
 と、基本の確認をするアオイ。
「よくわかんないけど、名前聞いてもときめかないものは盗まないよ」
 ときめくものなら盗む、と悪びれもせずに言うカラ。
「では、この映像を見てください」
 アオイが自分のスマートフォンを操作して、先のカボチャ頭が逃走する様子を見せる。
「ありゃー、こりゃ確かに、カラちゃんが使ってるのと同じだねー。でも違う。カラちゃんは侵入と脱出に、盗みに転移は使わないよ。それは美学に反するからね」
「そうでしょうね」
 盗みの美学というものにこだわるのがカラだ。それはアオイもアンジェも知っている。フェアは知らないが、アンジェとアオイを信じる事にしているので何も言わない。
「ふむふむ。とりあえず、アンジェ達は、このちょっと気が早いハロウィン野郎を追いかけたいんだね?」
 もう一度先端の欠けた打刀を抜刀し、空中を一閃する。そこから時空が切り裂かれたかのように〝裂け目〟が出現する。
「こんな感じかな。そいつらが転移した先はここから追えると思うよ。それから、これはカラちゃんの勘だけど、多分、この先は奴らの前哨拠点みたいなところだよ。だから、そこを制圧しただけじゃ目的のお宝ちゃんは得られない。あえて逃げる隙を作って逃がすといいよ、きっと、本拠地に逃走してくれる」
 カラのアドバイスに頷く。と、突然、有名RPGの魔法使いのテーマソングがアンジェの携帯から流れる。
「あの魔女ですね」
 アオイが言う。
「では、私は行ってきます」
「どこへ?」
 携帯を見たアンジェがどこかへ行こうとするので、ウェリィが止める。
「魔女の元ですよ。ルーンを張りなおしてもらうんでしょう」
「そうです」
「そういう事なら、カラちゃんはここでこの〝裂け目〟を維持しておくからねー。でも出来れば早く来てねー。いつカラちゃんの気が変わるか分かんないよー」
「そうなったら、私が切り伏せるだけです」
「出来るかなー?」
「私がいない間に喧嘩していた事が分かったら、私、許しませんよ」
 すぐに仲違いを始めそうになる(そもそもお互い仲間とは認識していないのだろうけれど)アオイとカラに牽制するアンジェ。

 

 そして、アンジェ、アオイ、フェア、カラ、ユキ、リュウイチは〝裂け目〟に侵入する。
「どこかの建物の中だねぇ」
「カボッ!」
 見回りをしていたらしい、カボチャ頭が奇妙な声を上げる。
「カボッって……」
 苦笑するウェリィ。
 カボチャ頭が電磁警棒を構えたのを見て、全員が武器を構える。
「ねぇねぇ、私もフェアっ! とか鳴いた方が良いのかな?」
 空気を読まないウェリィ。
「ここは私が」
 ウェリィを無視して、フェアが妖精銃を構える。ウェストポーチのベルトに固定されたケースの一つを開く。すると、E型人工妖精のエンターが飛び出し、楽しそうにフェアの周りを飛び回る。その様子を見ながら、ウェストポーチから妖精弾と呼ばれる、人工妖精が宿る事の出来る構造を持つ銃弾を取り出す。
「エンター、バレットエンチャント」
 呪文なのか指示なのか、フェア自身よく分かっていないそれを唱えると、エンターが妖精弾に吸い込まれるように入っていく。その弾を小銃に押し込み、薬室に送る。そして、狙いをつけて射撃する。目標は敵の足元。
 着弾点から強力な風圧が生じ、カボチャ頭を転倒させる。
「動かないでください」
 そこにアオイが刀を首に突きつける。
「…………」
 次の瞬間、糸が切れたように、カボチャ頭の敵から力が抜ける。
「!?」
 まるでそれは死んだようで。
「その鳴き声、だったら、私と被るでしょ」
 と呑気に返事をしたフェアも思わず息を飲む。
 慌てて、カボチャの被り物を取り外すアオイ。そのまま脈拍などを調べ始める、が。
「瞳孔散大……、呼吸無、脈拍もない……。死んでいますね……」
「毒でも飲んで自害したかなー?」
 驚くほど肌が白く、触ってみると肌が腐敗している。まるで、今この瞬間ではなく、ずっと前に死んでいたように。
「…………」
 面々はそれぞれの思う方法で、死者に祈りを捧げる。
「行きましょう。どうやら連中はいざとなれば自害を辞さない連中のようです。慎重に行きましょう」
 一行が移動を始める。
「あ、フェア、じゃだめなら、Hi! とかListen! とかならどうかなー。ねぇねぇー。Watch out! あら、このカボチャ頭何か首輪をつけてるわー」
「どこでそんなネタを覚えてるの……」
 誰も相手にしなかった。

 

 そして、施設の構造は意外と単純で、倉庫のような場所にカボチャ頭が集まっているのを発見した。気持ち追い詰めた感じだ。少し前まで妖精銃が入っていたであろう木箱が空っぽになっておいてある。
「カボッ!」
「カボカボッ!」
 アンジェ、アオイ、リュウイチ、カラが刀を構える。その後ろで、フェアとユキがそれぞれ、銃と弓を構える。
 今度のカボチャ頭の武器は、剣であった。見覚えのない、両手剣にしては小さく、片手剣にしてはちょっと大きい剣。
「カボッ!」
 カボチャ頭の声に呼応するように剣に炎がまとわりつく。
古術使いメイガス?」
「いや、未知の魔導具かもしれない」
 アオイの見解に、別の見解を示すリュウイチ。
「どちらにせよ、しっかりと警戒を。私が、先手を行きます」
 アンジェが、刀に白い光をまとわせながら前進する。刀を振るい、白い光を飛ばす
「カボッ!」
 剣で防御するカボチャ頭。すると。
「あの炎は、私の力で消せます」
「よし、アンジェに続きます」
「カボッカボカボ!」
 カボチャ頭の一人が武器の属性を雷に変更する。
「カーーボーッ」
 大きく剣を振ると、電撃が大きく放電を始める。
「させません」
 アンジェが左手を刀から離し、放電を始めた剣に掌を向ける。掌に刻まれたルーンが起動し、電撃を吸収する。
「くっ、あの魔女に助けられましたね」
 悔しそうにつぶやくアオイ。
「援護射撃は?」
 誰かが叫ぶ。
「くっ」
「ちょっと、フェア、ジャムってるよ」
「分かってる。アリル、適当に放って!」
 銃を使用出来ないウェリィに代わり、A型人工妖精であるアリルが火の玉を発射する。
「今だぁっ!」
 足元に火が発生し、慌てて回避するカボチャ頭に、カラが迫る。
「峰打ちだよっ! 調子がいいみたいだね、清光きよみつ!」
「カボっ」
 カボチャ頭は、その戦線の維持の困難さを理解し、〝裂け目〟を出現させて、逃走する。
「今だよ、閉じる前に! 走れ!」

 “裂け目”の先は、廃墟であった。そして、白い巨人がアンジェ達に立ちふさがった。
「デカァッ!」
 と、叫ぶウェリィ。そして、左から同じ声が上がったのが聞こえ、全員が一斉に左を見る。
 向こうも一斉にこちらを見ていた。
「あなた達、魔女?」
 左の集団が謎の質問をする。アンジェ達が首を傾げたその時、空中に再び〝裂け目〟が出現し、SF映画に出てくるような宇宙船と、翼竜のような奇妙な形状の宇宙船が飛び出してくる。
 最初に飛び出してきた宇宙船は、白い巨人に衝突しかけ、スラスターを使って、衝突を回避するが、それによって大きく推力を失い重力に従い落下を始める。と、緑色のラインが翼竜型の宇宙船に打ち出され、翼竜型の宇宙船が、最初の宇宙船を支える。
「えぇー。もうなんなのー」
 ウェリィの叫び。
「危ない!」
 その直後に、左の集団のリーダー格らしきボブカットの少女が叫ぶ。白い巨人がそのつめを宇宙船に向けて振りかざしたのだ。翼竜型の宇宙船も支えるので精いっぱいで回避出来そうにない。
 と、次の瞬間、空中に歪な五芒星が出現する。
「あれは、安曇あずみの使っていた!」
 と、アオイが叫ぶ。
 そして、銀朱色の巨人がそこから現れ、白い巨人の爪を受け止める。

 

 To be continued to 2章 #A.D.1961

 

第1章 #N.U.A.246へ

第1章 #A.D.2032へ

第2章 #A.D.1961へ

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