未来を探して 最終章

by:tipa08   

 放棄されたかつての世界樹の“アドボラ”拠点。そこにGUFで通常用いられる単色塗装ではなく、コントラストのはっきりとしたダズル迷彩を施した4隻の艦艇が停泊していた。
「不明戦闘機多数!」
「GUFを敵にまわす覚悟がある訳か。戦闘機隊発進」
 その中の一隻、ヤリマ級強襲揚陸艦“ヨコスカ・ベイ”のCICで胸に錨の記章を付けた海兵隊の指揮官が指示を出す。
「本隊の到着まで、ここを維持する。海兵隊の誇りにかけて!」
 本隊とは、“パラダイス”を中心としたアドボラ討伐艦隊の事で、彼らは拠点捜索の為に拠点に残った艦隊であった。
「海兵隊の誇りにかけて!」
 海兵隊は惑星や要塞への突入、軌道爆撃等大きな危険を伴う任務を担う精鋭部隊だ。指揮官の掛け声に対して、艦橋の全員が同じ言葉を同時に返す。これは,危険な任務をこなす、海兵隊という組織に対する誇り、その任務をこなす練度をはっきりと示す物であった。
「戦闘機、発艦始め」
 次々と艦内から戦闘機が飛び立つと、素早く編隊を組み、鋭い旋回で敵の方位に向けて突撃を開始する。
「データ収集を忘れるな。本隊到着後の対応に役立つだろう」
 モニターを睨む一人の士官に指揮官が声を掛け、敵の情報が表示されている中央のモニター群を見つめる。
「我々を相手にしたのが間違えだったな」
 そう呟くと、コンソールを操作し、迎撃の為に艦隊の陣形についての指示を次々と出していく。たった4隻とわずかな艦載機、それでも海兵隊は負けるという想定など、一切していなかった。

 

= = = =

 

 “パラダイス”を中心としたGUF艦隊と、“チハヤ”“アキツシマ”のアドボラ艦隊がワープを完了し、世界樹を視認した時、海兵隊艦隊と所属不明の戦力は未だ交戦中であった。
「艦載機隊、出撃。海兵隊を援護」
 GUF、“アドボラ”の合同司令部となった“パラダイス”の艦隊司令室で艦隊司令官が指示を飛ばす。
「了解、105秒後、発艦開始」
 司令室のホログラフに次々と周辺の情報が表示される。
「レジー中佐、戦況は?」
 艦隊司令官が海兵隊の指揮官に無線を送る。
「相手の能力は低いですが、数が多いです。ここには防衛設備もありますから、守りに関しては問題が無いのですが、攻めに転じるのは難しい状態です」
 海兵隊の立てこもる“アドボラ”の拠点は、戦闘と撤退時に大半は破壊されたが防衛の為の装備や構造が整備されていた。それを工兵が修理したり、破壊されていなかった機材を再利用したりとする事で、防衛においては大きな優位を得ていた。
「こちらの艦載機隊を向かわせる。合流まで、“アドボラ”拠点内で待機せよ。また、“アドボラ”とは協力関係となった」
 艦隊司令官は海兵隊の指揮官にそれを伝えると、副官に艦隊の進路を拠点に向けるように指示を出す。
「了解しました。それと、こちらで収集できた研究所でのエネルギー反応についてのデータを送ります」
 艦隊間データリンクを通じて、海兵隊艦隊で収集された多くの情報が“パラダイス”の艦隊司令室でも閲覧可能な状態となる。
「よーし、お仕事お仕事―」
 すでに戦闘を展開しているGUFに対して、“アドボラ”は戦闘を開始していない。研究者も有し、土地勘もある“アドボラ”は研究所で何が行われているのかを調査するのが現在の仕事であった。
「こんな高出力の反応、見た事無いねー」
 ミアが自分の携帯端末で資料を見ながらそう言う。
「世界樹の稼働率も100に近いです」
 スミスも携帯端末を見つめながら報告する。
「さーて、何をしているのかなー」
 マリンはニコニコとしながら、次々とデータを参照し、手元のメモに情報をまとめたり、仮説の証明の為に、資料を探したりする。
「うちの諜報部もこの研究所について調べていたようだ。情報がいくつか来たが人は足りているか?」
 艦隊司令官が、分析に取り組んでいる皆に向けて声をかける。
「じゃあ、私が」
 スミスが手を上げる、専門的な用語が増えてきて、分析の手伝いがしづらくなっていたから、渡りに船という感じであった。
 諜報部の情報の多くは、資金の流れ、通信の記録などで先ほどまで手伝っていたデータの分析よりは、スミスが大学で培ってきた知識を活用する事が出来るから、スミスは十分に分析の手助けをする事が出来た。
「頻繁に通信してる、“リード・サイエンス”と“クローバー・フォース”って知ってます?」
 スミスが、データには記載されているが。公的資料を参照しても見つからない企業について尋ねる。
「前者は“セントラルアース”、後者は“ネオアドボカシーボランティアーズ”のペーパー企業だな。なんで両方の名が」
 オラルドが手を止めてそれに答える。
「ネオ? うちとは違うんですか?」
 スミスが聞きなれぬ単語に対して聞き返す。
「歴史の話はした事あったか? “アドボラ”は“アドボカシーボランティアーズ”の反省を生かして再編された組織だが、“ネオアドボカシーボランティアーズ”は理念そのままに再編された連中なんだよ。話を聞く限り、大分過激化してるようだが」
 “アドボカシーボランティアーズ”の反省というのは、差別に対応する為に武力行使を続けた結果、一般市民の間に被差別者と武力行使が結び付けられ、差別の拡大に繋がったという事だ。
 “アドボラ”は武力行使を止むを得ない場合のみに留めたし、明確な証拠をそろえ一般に訴えるという広報もしっかりしてきた。それに対し、“ネオアドボカシーボランティアーズ”はその原因は“アドボカシーボランティアーズ”に便乗した別の武力組織が原因とし、そのままの行動原理で活動している。
「うちもそうだが、ネオの連中はなおさら“セントラルアース”の連中とは犬猿の仲だ。協力し合うとは思えんが」
 オラルドは自分の作業を中断すると、スミスの端末をのぞき込む。
「敵の無人機を分析していますが、“セントラルアース”“NAV”の両系統の機体があります」
 GUFの技術士官が口を挟む。“NAV”とは“ネオアドボカシーボランティアーズ”の略称で、GUFで使用されている非合法武装組織に当てられているコードでもある。
「協力関係を隠しながら、両者が欲する物を使って協力を取り付けたって事?」
 ミアも分析の手を止め、スミスの方にやって来る。
「両者が欲する物って何でしょうか? 理念とか真逆な組織ですよね」
 スミスが疑問を発する。
「惑星規模の洗脳装置とか、どちらも欲しがりそうだけど」
 シアが資料から頭を上げ、それだけ言うと作業に戻る。
 両者が欲しがる物とは一体何か、それを考えだした時、マリンが声を出す。
「過去の改変かもしれない」
 その声に、その場にいた全員の視線がマリンの方に向く。
「過去に移動して、両者にとって都合のいい改変をすると言えば、予算や装備の支援を受ける事が出来るかもしれない」
 その説明に、スミスが疑問を呈する。
「タイムスリップなんて出来るんですか?」
 それに答えたのはGUFの技術士官だった。
「“粒子”の研究過程で、タイムスリップの理論式は生み出されています。最も、理論上の話で、それをコントロールする事は不可能ですが……」
 そして、技術士官に続けて、マリンが声を出す。
「そう、でもそれをコントロールする手段を思いついたんだろうね」
 少し、もったいぶって言葉を止めたマリンの代わりにミアが発言する。
「もしかして、サーミルの死体?」
 そのミアの言葉に、にっこりと笑いながらマリンが答える。
「そう、特定の刺激を加えると粒子制御の手助けになる事が確認されているの。大型級の死体だったら、もしかすると、タイムスリップに必要なコントロールが可能になるかもしれない」
 マリンがキーボードを叩き、数値を入力すると、タブレットにいくつかの数値が出力される。
「仮の数値が多いけど、タイムスリップは出来そう。ただ、タイムスリップ後にコントロールしきれなくなって……」
「爆発ですか?」
 もったいぶるようなマリンの話し方がじれったくなったのか、オラルドが尋ねる。
「うん、それも途轍もない規模。たぶん未曾有の大災害として記録されるよ」
 司令室のホログラフに艦隊の現在位置を中心とした地図が映し出され、予想被害範囲が表示される。それはとても巨大で、多くの居住惑星が含まれており、途轍もないエネルギーである事が誰の目にでも分かるほどであった。
「直接的な被害以外にも甚大な被害が発生しそうですね」
 その情報を見た艦隊司令官が呟く。
「うん、止めないと大惨事間違えなし。研究所と通信できたりする?」
 マリンが通信機に近づきながら、尋ねる。
「全てのチャンネルで応答がありません」
 通信担当の士官が通信機を操作しながら答える。
「惑星表面に多数の熱源。上昇中の主力艦2、駆逐艦6と推定」
 唐突に、艦隊司令室に座るオペレーターが報告する。
「艦艇まで用意していたとは、説得に応じるつもりはなさそうだ」
 オラルドがそう呟き、艦隊司令官が指示を出す。
「艦隊はこちらで遊撃する。“アドボラ”及び第11宙雷戦隊は海兵隊の援護へ!」
 その指示が下された瞬間、スミス達“アドボラ”のメンバーは連絡用のコンスタレーションやフェアリースーツが置かれており、“アドボラ”が間借りする形になっている側面格納庫に向け走り出した。
「スミス、ミア、シアは“チハヤ”“アキツシマ”の防護を担当。基本は戦闘機隊でやる!」
 オラルドが走りながら指示を飛ばす。側面格納庫にはすぐに到着し、フェアリースーツ組はフェアリースーツを装着し宇宙に飛び出し、他のメンバーはコンスタレーションに飛び乗ると、“チハヤ”に向けて移動を開始する。
「敵はQSF-40、QF-19を中心とした20の編隊。進路そのままで接触できます」
 GUFのオペレーターが迎撃に向かうフェアリースーツの三人を誘導する。
「まあ、無人機だったら苦労しないでしょ」
 ミアが余裕たっぷりの声で言う。
「そうね、前の“セントラルアース”の襲撃と同数。ネオの連中の機体はハイドレーサーと比べたらガラクタみたいな物よ」
 シアがそう答える。連中の機体というのはQF-19で、これはSF-19という有人宇宙戦闘機を無人戦闘機として改良したものだから、最初から無人戦闘機として設計されたQSF-40と比べると性能は遥かに劣る。
「敵を確認」
 “パラダイス”の優秀なセンサーとリンクしているフェアリースーツの索敵システムに多くの光点が表示される。FCSが視界に表示させる敵予想位置に向けて、三人は射撃を開始する。
「交戦します」
「了解、こちらの戦闘機隊が援護します」
 粒子弾が直撃し、敵3機が爆発するのを合図にしたかのように、数機のGUFのS/OF-34が突撃する。
 三人はそれを支援するように射撃を加え、敵編隊の機数を次々と減らしていく。突撃した戦闘機がドックファイトに突入する頃には敵の数は、半分の10機ほどに数を減らしていた。
「射撃ほんとに上手になったよねえ。五発四中!」
 ミアがスミスに近寄り、肩を叩きながらそう言う。
「数えてたんですか?」
 恥ずかしそうに、頭をかきながらスミスが答える。スミス自身は何発撃って、何発当てたのかと考えている余裕は無かった。
「まあねー。さあ次だ!」
「次の目標。方位マークしました。ミサイル24」
 ミアが言うと同時に、オペレーターが次の目標に対する誘導を開始し、三人のHMDに目標の方向を示す矢印が表示される。
 三人は目標を確認すると、射撃に適切な位置に移動するべく、青い尾を引きながら移動を開始した。

 

= = = =

 

「目標、前方の主力艦A」
「照準、攻撃システムに問題無し」
「撃ち方、始め」
 淡々とした砲術担当士官のやり取りが艦隊司令室に響き、“パラダイス”の誇る四門の有砲身粒子砲から粒子弾が飛び出し、高速で飛翔する。
 四発の粒子弾は、敵の主力艦に命中すると、それを大きな火球へと変化させる。
「敵魚雷接近中」
 オペレーターが声をあげる。
「副砲で迎撃」
「了解、照準良し、システム確認よし。撃て」
 再びの淡白なやり取りの後、艦中部に多数供えられた連装高射砲から次々と粒子弾が飛び出すと、次々と光点を生み出していく。艦隊を先導する“カレー”もその主砲を持って敵艦隊に打撃を与え始め、敵艦隊は交戦開始から、数分でその戦闘能力を失っていく。
「攻撃は単調、ここまで不利になって逃げないというのは、これも無人艦か?」
 艦隊司令官が駆逐艦2隻しか残されていない敵艦隊の状況を見ながら呟く。
「そのようですね、しかし、向こうにはどれほどの戦力がいるのでしょう」
「分からん。偉そうにしているが諜報部の連中は肝心な時に役に立たん」
 諜報部から届いた資料を開き、高速で流しながら艦隊司令官がつまらなさそうに呟く。多くの情報があるが、戦力に関する情報は全く無い。
「その癖、このような会話は把握してるようですからね」
 艦長が敵艦隊の情報を示すモニターから最後の駆逐艦が消滅するのを見ながら、そう答える。
「待ち伏せに注意。世界樹の残骸が多い宙域だ、固定式の防御設備、魚雷艇、なんでも隠れられる」
 艦隊司令官が通信機を通して、艦隊に指示を出す。
「海兵隊に対する攻撃は停止」
「向こうも終わったようだな。最大速力で合流する」
 オペレーターが通信内容を報告すると、艦隊司令官はそれに応じた命令を下す。
 デプリの宙域を縫うようにGUF艦隊は合流に向けて加速し始めた。

 

= = = =

 

 世界樹の“アドボラ”拠点に、GUF“アドボラ”討伐艦隊と“アドボラ”艦隊が集結し、いかに研究所の動きを止めるか、という事について議論を進めていた。
「やはり、電気供給のカット及び、突入による研究所の確保しかないでしょう」
 海兵隊の指揮官が突入を強調しながら発言する。
「まあ、それしかないでしょう」
 オラルドも同意する。エネルギーの蓄積が開始されている以上、研究所を破壊するのは危険が伴う。間接的に止めるしかない。
「では、我々が突入するという事でよろしいですか?」
 海兵隊の指揮官が食い気味に尋ねる。
「そうだな、しかし、重火器が足りないのでは?」
 艦隊司令官が少し体を引きながら答える。今回は宇宙上の拠点を制圧する予定であったから、戦車といった陸戦用の重装備を持ち込んではいなかった。
「そうですね、装甲車とラルコースが少し」
 悲しそうにそう答える海兵隊指揮官に、オラルドが声を掛ける。
「では、うちのフェアリースーツを同行させましょう。戦車砲並みの火力はありますよ」
 それを聞いた海兵隊指揮官が表情を明るくする。作戦会議中に大きく表情を変えない艦隊司令官と比べると感情の起伏がはっきりと分かる。それは海兵隊士官が持つ傾向の一つだ。
「では、地上は海兵隊とフェアリースーツに任せるとしましょう。残りは、電気供給のカット、つまり世界樹の破壊を目指すという事で」
 艦隊司令官がそう締めると、研究所突入班、世界樹破壊班に分かれて、それぞれの詳細についてさらに詰めていく。
 打ち合わせの中で、フェアリースーツの三人は大気圏突入用の強襲艇に搭乗し、装甲車を盾に火力支援を行う事が決定され、スミス達はその強襲艇を搭載している海兵隊の駆逐艦に移る事となった。
「サツキ級とは違いますね」
 スミスが海兵隊の駆逐艦“DDM-103”の艦内通路で案内をする海兵隊の士官に尋ねる。
「ええ、海兵隊向けに改良されたタイプです。強襲艇の搭載能力、工作員用エアロック、対地砲等を備えています」
 海兵隊の士官が早足で歩きながら説明する。その横を装備の整えた数名の海兵隊員が通過する。
「ここから強襲艇に入れます。それでは、私も装備を身に付けなくてはならないので」
 士官は敬礼をすると通路を走り去る。その横で、次々と完全装備の海兵隊員がシャトルに乗り込んでいく。
「頼むぜ!」
「若いなー」
 スミスの横を通り過ぎていく海兵隊員の何人かはスミスに短い言葉をかけていく。
「若いの、ササっと乗らんといい席を取られるぞ!」
 一人の隊員がスミスの肩を掴み、強引に近い形で強襲艇の中に引き込む。
「いい強襲艇なんだが、やたらと揺れる席があってな。それを避けて座らないと辛い」
 隊員はそう説明しながら、一つのシートを示して、その隣に座る。スミスは示された座席に座り、身に着けているフェアリースーツの状態を確認する。
 先の戦闘で被弾はなかったものの、細かな破片などで気付かぬうちに損傷が生じているかもしれない。それと忘れずにシステムを重力下環境に再設定しておく。コロニーや宇宙要塞用のシステムではあるが、地表でも問題なく扱える。元々は宇宙服であるが、“アドボラ”で運用するにあたって、地表でも支障がないように改良が加えられていた。
「全員乗ったな!」
 この強襲艇に搭乗した部隊の隊長がそう言うと、部下が全員搭乗を報告する。
「偵察によると、地表にはこちらを攻撃可能な防衛システムが構築されている事が確認された。事前攻撃は十分に行えず、脅威が残ったままの降下となる」
 隊長が強襲艇の中央に立ち、全員を見渡しながら声を出す。
「だが、我々は海兵だ。これよりも危険な任務はいくらだってある。そうだな!」
 海兵隊員が一斉におう!と答える。
「よし、海兵隊の誇りにかけて!」                                      
「誇りにかけて!」
 スミスを除いた全員が一斉に敬礼し、かけ声をあげたのを確認すると、隊長も着席し、ベルトを締める。
「これがうちのノリなんだ。あんまり気にするなよ」
 スミスの隣に座る隊員があっけに取られているスミスの肩を叩きながら言う。
「分かりました」
 スミスはそう答えつつ、キャビンの各所に設置されている情報モニターの一つを見つめる。移動や用意をしているうちに大分時間が経過したようで、大分惑星に接近していた。
「分離、突入始め」
「突入フェイズに移行します。全員着席してください」
 コックピットから指示が飛び、まだベルトを着けていなかった兵士が次々にベルトを締めていく。
 情報モニターの一画に進行方向を写し出したカメラ映像が加わる。そこには、先行して突入する攻撃機が描く赤い筋を確認する事ができた。
「さて、あいつらはどこまでやれるかな」
「賭けか?」
「いやまさか、隊長から止められているだろ?」
 シャトルのどこかからか、そんな声が聞こえてくる。恐れ知らずで陽気な連中という創作で見るような海兵隊像そのもので会ったから、スミスは心の中で密かに感動していた。
『スミス君、地表でねー』
 スミスにミアから短い無線が入る。
「はい、どうか無事で」
 話を聞いている限り、強襲艇が撃墜される可能性も十分にある、全てのシャトルが無事に降下できる事を祈りつつスミスはそう返答した。
「突入開始」
 コックピットからの短い言葉と共に、進行方向を写し出すモニターが少しずつ赤くなっていく。
 そして、先の兵士の言葉の通り、一部の座席が少々揺れ始める。その座席に座っている兵士は不満そうな顔をしたり、アーーーと声を出して震える声を楽しんだりと様々な反応を示す。
「設計ミスという話もあるが、空中分解を起こさないもんだから、設計者の悪戯って話もあるぞ」
 スミスの横に座る隊員が自慢げにその話を言う。スミスはそれに対して、軽い会釈で答えた。
 モニターに地表からの攻撃が何度か写し出されたが、それらが命中すること無く、強襲艇は、突入から滑空へと移行する。
「よーし、派手にやるぜ!」
 隊員たちは様々な言葉を口にしながら、装備の点検を始める。スミスもそれに従うように再度装備の点検とシステムの確認を行う。
 地表からいくつか対空ミサイル飛翔するが、全てがシャトルの防御システムによって回避、迎撃される。脅威となる目標の大半は、攻撃機と駆逐艦の対地射撃で沈黙したようだった。
 そして、強襲艇は大きな妨害を受ける事なく、地表に着陸をした。この惑星のほとんどが荒れ地であり、着陸時には大きな振動が強襲艇を襲ったが、強襲艇が停止してすぐに海兵隊員は行動を開始する。
「よし、行くぞ!」
「誇りにかけて!」
 後部にあるハッチに近い隊員から立ち上がり、次々と地表に降りていく。
「有害物質反応なし、敵勢力確認できず!」
 搭載されていた装甲車も強襲艇から発進し、スミスもそれに続き地表に降り立つ。
 一人の隊員が手乗りサイズのドローンを展開し、偵察を開始する。
「研究所までにいくつかの防御設備がありますね。なかなかの規模です」
 ドローンからの映像で判明した情報はネットワークを通じて素早く共有される。
「よし、スミス君だったか? 狙ってほしい目標をマークした、確認できるか?」
 隊長がスミスに声をかける。スミスは視界に表示された地図の数カ所にマークが表示されているのを確認してそれに答える。
「大丈夫です」
 その回答を聞いた隊長は小さく頷いてから指示を出した。
「よし、攻撃を開始する!」
 その声と同時に、装甲車は丘を乗り越えて敵に対して射撃を開始し、隊員たちは隠れていた遮蔽物から一斉に飛び出し、スミスは指示された目標に対して、フェアリーガンを構えて粒子弾を発射した。
 頑丈な防御設備はスミスの粒子弾によって破壊され、小規模な設備は装甲車の速射砲や携行ロケットランチャーによって次々と無力化されていく。
「やほー、スミス君」
 射撃に集中していたスミスの横からミアが話しかける。スミスはミアの存在に気付いていなかったので、驚いて思わずフェアリーガンを落とす。
「ゴメンゴメン、手伝うね」
 ミアはスミスの狙っていた目標と、追加であと一つの目標に粒子弾を送り込み、破壊する。
「しかし、それなりの防備なんだけど、正規軍に対しては力不足だねえ」
 次々と破壊、制圧されていく防御設備を見ながらミアが呟く。
「正規軍が来るとは思ってなかったとかですかね?」
 スミスが少し考えてから発言する。
「だったら、海兵隊が上空にいる状態で始めたのはなんでだろう? 見えてなかったわけではないと思うんだけど」
 ミアがさらに深く考えだす。
「なんでしょう、時間を動かせなかった理由……」
 スミスもそれについて考え始めたが、それを遮るように支援要請が入る。
「強力な陣地を発見。狙えるか?」
 スミスはその声に従って、マークされた方向を見ても何も視認できない、死角かとスミスが動こうとした時、ミアがスラスターを吹かして飛ぶ。
「ちょっとだけなら飛べるから、死角なら飛ぶといいよ!」
 通常、重力下ではスラスター程度の噴射では飛ぶことは出来ないが、制御能力で強化すれば跳躍程度の飛行は可能となる。
 見事に陣地に攻撃を加えたミアが着地してスミスに話しかける。
「スミス君もやってみれば?」
「いや、無理かな?」
 しかし、その飛翔した状態で制御能力をフェアリーガンにも割り振って攻撃を行うというのは、ミアにしかできない芸当であった。スミスが行えば、中途半端な粒子弾しか撃てないか、着地に失敗してしまう可能性が高い。
「こちらD班、研究所の入り口を確保」
 その無線が流れた瞬間、多くの隊員が声をあげる。残っていた防御設備の無力化の速度は上がり、研究所周辺の掃討は終わりを告げた。

 

= = = =

 

 ある程度好調である地表と比べて、世界樹破壊班は好調とは言い難かった。多くのデプリによって射線が遮られており、そのデプリに潜む敵もいる。容易に対応可能な敵ではあったが、無視できるものでは無く慎重に移動することを強いられていた。
「じれったいな」
 艦隊司令官が正直な感想を呟く。
「ミサイルがあればよいのですが」
 艦隊が持っていたミサイル系の兵装は“アドボラ”とサーミルとの戦闘で大半を使用し、ほとんど残されていない状況であり、巨大構造物である世界樹に致命傷を与えられるほどの数は存在していない。
「あまり時間をかけてはいられない。被害を恐れず突入するか?」
 いつ実験が終わるのかというのは憶測でしかなく、予想しているタイムリミットより短い可能性もある。そのような状態であったから、焦燥感は非常に高まっていた。
「その必要はありませんよ。ここは我々にお任せを」
 いきなり、艦隊司令室に無線越しの声が響く。
「第32騎兵隊、只今参上いたしました」
 まるで劇の登場人物のような声で騎兵隊の司令官が宣言する。
「君か、グローブ大佐。感謝するよ」
 艦隊指揮官がため息のような息を吐きながら返事をする。彼の劇の登場人物かなにかのような振る舞いはGUF内でかなり有名な話であった。艦隊はかなり優秀であり、頼りになるのだが、艦隊司令官は彼と話すのが少し苦手であった。
「世界樹を破壊すればよいのですね?」
「ああ、メインシャフトを破壊してほしい、データを送る」
 高速艦で編成された騎兵隊の高い機動力を生かす為には、艦隊への合流よりも、敵の虚を突いた世界樹への直接攻撃が有効であるというのは両者の共通した判断であった。
「では、全員突撃チャージ!」
 その宣言と共に、騎兵隊の艦艇は一斉に加速し、一気に世界樹に接近する。敵は艦隊の妨害に戦力を集中させていたのか、その動きを妨害するものは無く、粒子砲、ミサイルといった火力を次々とメインシャフトに投射する。
 騎兵隊の動きに慌てたように隠れていた敵が動き出した事によって、艦隊も大胆な行動を取る。位置を晒した敵を攻撃しつつ、勢いよく前進し、世界樹を撃つ。
 きわめて太いメインシャフトとはいえ、多数の艦艇による集中砲火を受ければ耐えることはできない、下部の送電システムと、上部の枝葉のような発電システム。その二つに分かれた世界樹はその機能を喪失した。

 

= = = =

 

 世界樹がその機能を失った頃、海兵隊は研究所内に突入し、激しい室内戦を展開していた。
「人はいないのか!」
 戦闘ロボットが激しい弾幕を展開している通路に向けてグレネードを投擲した隊員が叫ぶ。
 爆発とともに銃撃が止み、通路に隊員が突入する。
「クリア!」
 破壊されたロボットを確認して隊員が声を出す。
「スミス、この扉を壊してくれ!」
 隊員が通路にある扉を示しながら言う。室内戦闘ではフェアリーガンは威力過剰であるが、このような扉を吹き飛ばしたい状況ではその威力は魅力的であった。
 スミスは扉から隊員が離れたのを確認すると、フェアリーガンを構えて撃つ。扉は吹き飛び、その正面で待ち構えていたロボットにもダメージを与える。
「突入!」
 扉が吹き飛ばされてすぐに、隊員が一斉に突入し、部屋で待ち構えていたロボットを即座に無力化する。
「ここもハズレだな。どこにあるんだよ」
 一人の隊員が部屋を捜索しながらぼやく。突入してそれなりの時間が経過したが、タイムスリップ実験に関わる何も発見できていない。
 スミスが部屋の机に会ったパソコンを立ち上げるが、パスワード入力を求められ、アクセスすることは出来ない。
「適当に0000でやってみれば?」
 それを見たミアが本当にそう入力してエンターキーを押す。すると、ピロンピロロンと起動音を響かせて、画面が切り替わる。
「わーお」
 入力したミアが一番大きな驚きの声をあげる。スミスが何か情報が無いかと、パソコン内を捜索し、そのアクセスに成功したパソコンに隊員が情報端末を接続する。
「地図みたいなのがありました!」
「アップロードする。少し貸してくれ」
 スミスが地図のような図面を発見し、隊員が情報端末を通じて突入中の隊員と共有する。
「こちらA班、地図を発見した。データベースで共有」
 それを報告してから、その地図を確認する。それはまさに目標の設計図であった。
「B-3から降りられるようだな、ここは?」
「B-2です」
 その場にいた全員が顔を合わせて、大きな声を出す
「隣か!」
 目標が分かったことによって、海兵隊は失いかけていた勢いを取り戻し、目標に向けて一気に進む。スミス達が隣のブロックに突入すると、それまでのブロックよりも激しい抵抗に遭遇したが、他のブロックと比べて広い空間であったため、ランチャーやフェアリーガンの使用に抵抗が少なく、容易に制圧することができた。
「ミア、スミス。無事?」
 合流することが出来ていなかったシアが二人に声をかける。彼女の手には海兵隊の使用するブラスターが握られていた。
「そっちも大丈夫? フェアリーガンは?」
 ミアがそれを訪ねると、シアが少しムッとした感じで答える。
「こっちは一人だったからね。弾切れ」
 ムッとしているのは、早々とスミスに合流したミアに不満があるようだった。降下地点の関係でどうしようも無い話ではあるのだが、シアは貧乏くじを引かされた気分になっていた。
「ごめんよー、次は私がぼっちになるからー」
「次ってあるの?」
 ミアとシアがそんな会話をしているうちに、海兵隊員が目標へのハッチを発見し、溶接されていたそれを切断する。
「さて、いよいよ、黒幕とご対面?」
 隊員に続いて降りるミアが言う。
「黒幕……ですかね?」
 降りた空間にはロボットやタレットの待ち伏せは無く、様々な機材が稼働する空間であった。
「コントロールルームに向かう。誰かいるといいのだが」
 隊長がそう告げ、設計図ではコントロールルームと記載されていた空間に向けて歩み始める。通路も機材がひしめき合い、人が何とか通れるスペースがある程度の空間を進んでいくと、少し広い空間に出る。
「おや、たどり着いてしまったか」
 多数のモニターとコンソールが立ち並ぶそこは、まさにコントロールルームであった。その中央にある少し他より高くなっている座席、そこに初老に近い白衣を着た男性が立っていた。海兵隊員はもちろん、スミス達三人もその男性に銃を突きつけ、囲むように移動する。
「だが、実験は止められん、止める為のシステムは作っていないし、もはや電源は不要だ」
 男性は立ち上がり、突きつけられた銃を無表情で眺める。その様子を見たミアがコンソールを撫でてから、男性に声をかける。
「なんで過去に行くの? “セントラルアース”“ネオアドボカシーボランティアーズ”にとって都合のいい改変をする訳じゃないんでしょ?」
 その問いに男性が答える。
「非常に単純だよ、娘と孫を救いたい。それだけの話だ。ついでに娘を死に至らしめた連中に一泡吹かしてやりたいともな」
 男性は白衣のポケットから、ロケットを取り出すと開いて中の写真を眺める。
「二つの組織の抗争に巻き込まれて?」
 スミスが尋ねる。
「そうだ、だから連中を騙してやろうと思った」
 ロケットを閉じ、再びポケットの中に戻す。
「なぜ今やろうと思ったの? GUFがうろうろしているこの状況で?」
 今度はシアが尋ねる。
「サーミルの死骸はね、大型クラスになると仲間が近づくと反応を示す。それが確認されたから強行した。君たち“アドボラ”が排除された後に行うつもりだったんだがね」
 モニターに表示されたカウントダウンを見ながらスラスラと男が喋る。
「なぜ、ここに? 過去を変えたいなら自分が行かなければ意味がないんじゃあ」
 スミスが疑問を口にする。
「分からないな、過去を書き換える事ができないと突きつけられたり、その行為そのものが恐ろしいのかもしれない。とにかく、自分が乗るという事は抵抗があった」
 何かを考えるように、天井を見つめながら男性が語る。そして、その視線を降ろした時だった。
「なぜ、なぜ数値が低下している!」
 モニターに表示されているエネルギー総量の数値が減少を始めていたのだ。
「もうすでに莫大な電力を消費するフェイズは終わったんだぞ、なぜだ、なぜ!」
 キーボードを叩き、原因を探そうとする男性に、シアが答える。
「単純な話、ハッキングで粒子操作システムを乗っ取って、減少させるように制御しているだけ」
 シアはコンソールに接続された携帯端末を掲げる。それを介して、独立していたコントロールシステムと、“パラダイス”のコンピューターシステムを繋げ、マリンら科学者がシステムを分析し、掌握したのだ。
「そうか、そうだったのか」
 男性はそういうと、白衣の裏から拳銃を取り出し、自分の頭に突きつけようとする。その拳銃を狙ってスミスが射撃し、拳銃を弾き飛ばす。そして、海兵隊員が男性に近づき、彼を取り押さえる。
「なぜ自殺を?」
 スミスが拳銃を回収しながら尋ねる。
「結局私は死にたいだけだったのさ、それに気が付いた」
 取り押さえられた状態で、男性は肩を震わせる。それが泣いているのか、笑っているのか、スミスには判断することが出来なかった。

 

= = = =

 

「出力低下中。爆発の危険は去りました」
 “パラダイス”の艦隊司令室で技術士官が観測している情報を報告する。
「これで、中にあるサーミルの死体を回収できれば一件落着か?」
 艦隊司令官が、椅子に深くもたれ掛かりながら誰かに尋ねる。
「そうですね、終われば我々は逮捕ですか?」
 オラルドが言う。協力関係が終われば“アドボラ”とGUFは再び敵同士となる。騎兵隊まで加わったGUF艦隊に勝つことは出来ないし、拘束されるというのが一番穏便な解決と言えるだろう。
「そうだな……」
 その時、本部からの命令書を示す通知音が響く。艦隊司令官がそれを開くと、ニヤリと笑った。
「“アドボラ”に対する討伐命令は解除された。議会に提示された証拠に不審点があるそうだ」
 とても満足したような口調でオラルドに向かってそれを伝える。
「ええ、ありがとうございます」
 オラルドは艦隊司令官に対して、深く頭を下げる。それに対して、艦隊司令官は大きく手を振る。
「いやいや、私ではなく不審点に気が付いた者に感謝してください」
 そう言った艦隊司令官に対して、オラルドが指摘をする。
「あの交戦以来、この宙域に入った公的な船はあなた方のみです。あなたが攻撃した貨物船が“セントラルアース”の貨物船であるという事を調査し、報告したのでしょう?」
 確かに、この宙域に侵入した際、残る海兵隊に貨物船攻撃について調べ、本部に報告するようにメッセージを飛ばしたのは艦隊司令官であった。彼はその指摘に答えず、深く帽子をかぶり、自分の顔を隠した。
 そんな艦隊司令官に対して、オラルドは再び深く頭を下げ、艦隊司令室から退出した。
「“アドボラ”討伐艦隊は現時刻を持って任務を終了する。追加の指示を待て」
 艦隊に所属する艦に対してその通信を行ってから、艦隊司令官は立ち上がり艦長に声をかける。
「戦闘配置を解除、私も少し休む。艦長、しばらく指揮を頼む」
 “アドボラ”との戦闘開始以来、解除されていなかった戦闘配置によって、多くの将兵が疲労しきっている。そろそろ休まなくてはならない。
「分かりました、指揮を引き継ぎます」
 艦長は敬礼をしながら答える。艦隊司令官はそれを確認すると、自室に向かって歩き始めた。

 

= = = =

 

 時は流れて、世界樹での激戦から一年ほどが経過したとある街角の喫茶店。スミスの読む記事には、嘘を元に“アドボラ”を議場で糾弾した議員の刑が確定したとの文字が躍っている。
「スミス、待った?」
 喫茶店に入ってきたスミスの幼馴染であるサリュアがスミスの座る椅子の反対側に座る。
「いや、ほとんど待ってないよ」
 スミスはそう答えながら、記事を表示させていた携帯端末をポケットに入れると、コーヒーを一口、口に含む。
「ま、手短に行くわ。まずこれね」
 綺麗に包装されたプレゼント箱を手渡される。普通なら喜ぶところだが、スミスは苦笑する。それは中身が情報の詰まったデータファイルであることを知っているからだ。
「ありがとう、うれしいよ」
 苦笑そのままの、とてもうれしそうに聞こえない声でスミスが感謝を示す。
「演技が下手ね」
 紆余曲折を得て、GUFの差別を主とした特別査察部隊として再編された“アドボラ”であったが、GUFのデータベースを介した情報のやり取りでは、内部に潜む人類至上主義者が気付いてしまい、対象に連絡され、対象に逃げられる場合もあった。
 そのため、人類至上主義者が関与している事案についてはこのような方法で情報がやり取りされていた。友人と会話を楽しんでいるように偽装できる二人の関係は非常に便利なものであったのだった。
「しかし、今の仕事に満足してるの?」
 スミスが先に頼んでいた紅茶をのみながらサリュアが質問する。
「うん、別の事をしてる自分は想像できないかな?」
 スミスもコーヒーを飲みながら答える。
「ふふ、やっぱりお母さんの言う通り、道を見つけたらしっかりしてきた」
 スミスは、なんの話かと思ったが、様々な事に巻き込まれる始まりの日にそんな話をしたことを思い出す。
「しっかりなんてしてるかなあ?」
 スミスは首をかしげながらそう言う。
「ええ、オラルドさんは後任に丁度いいって思ってるみたいよ」
 それはスミスにとって寝耳に水な情報で、スミスはコーヒーを吹きそうになる。
「うーん、それは無理だと思うけどなあ」
 スミスは自信なさげにそう回答する。その時、スミスの携帯端末が振動した。
「ありゃ、仕事みたい。ごめんね」
 その振動のパターンから仕事の呼び出しであることを認識したスミスは、話を中断してしまう事を謝罪する。
「遅れて来たし、お金は払うわ。頑張ってね」
 サリュアの言葉に軽く礼をすると、スミスは走り出しながら、携帯端末を取り出して通話を繋げる。
「はい、スミスです。分かりました、すぐに戻ります」
 端末をポケットに戻し、足をさらに早く動かす。その足取りに迷いはなく、将来に悩んでいた頃の面影はなかった。
 彼の道は決まった。さあ、彼の掴む未来とは彼が望む未来であるのだろうか、それはまだ、誰も知らない。

 

End

 


 

あとがきです。
 初連載作品、未来を探して。いかがだったでしょうか?
 スケジュールの加減で前後編に別れたりして、二ヶ月に一回の予定だった更新が一ヶ月に一回になったりとバタバタしてお送りいたしましたが、お楽しみ頂けたなら幸いです。
 普段のSSのような書き方は連載には向かないのだなーと感じたり、発見の多い連載でした。

 次回の連載はもっとスマートに行いたいですね。
その次回の連載ですが、徐々に出力されつつありますので、早ければ今年の春にでも始めさせて頂きたいと思っています。
そちらも是非、よろしくお願いします。

 それでは最後に、この未来を探して。を読んでくださった皆様への感謝で締めたいと思います。
ありがとうございました。

 


 

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